ローカルインタビュー

「“おせっかい”な家具店店主が地域の人を巻き込んで楽しむ理由」

woody heart 木村 浩之さん

青葉区で30年以上家具店を営む秘訣は“おせっかい”

「SPRAS AOBADAI」で使用されている椅子やテーブルなどの家具類のほとんどは、環状4号線沿いにある家具店「woody heart」でオーダーしました。

woody heartは、横浜市青葉区で30年以上にわたってオーダー家具や旭川家具を販売する家具店です。今回、同店を経営する有限会社ハート代表の木材浩之さんにいい香りが漂う店内でお話をうかがいました。

同店のお客さんは「ほとんどが地域の方々」という木村さん。木材や家具が好きという方はもちろんのこと、特に団塊の世代の方を中心に「高品質の家具を求める人が多い」そうです。

30年以上この地で家具店を続けることができた秘訣について、木村さんは「おせっかい」だと言います。

「例えば、ダイニングセットを買いに来たお客さんがいたとしましょう。ダイニングセットは基本的にテーブルと椅子がセットになってます。そうではなく、テーブルも椅子もその方に合った高さや座り心地の良い椅子を全部セレクトするんです。実際にお宅にお邪魔して部屋を見てから、おすすめのテーブルや椅子をご提案することもあります。もちろん、家具の調子がちょっと悪くなったと聞いたら、すぐにアフターメンテナンスにうかがいますしね」

木材の香りが漂う店内には質の高いこだわりの家具がずらり

木村さんは、家具を購入してくれたお客さんだけでなく、家具を購入しなかった人に対しても同じように“おせっかい”するのだとか。

「それほど高品質なものを求めていないお客さんの場合は『何年も使わないんだったらこれを買うのはもったいないから、一度考え直したほうが良いですよ』とおせっかいな一言を言っちゃいますね。お客さんにはうちの家具をできるだけ長く使ってほしいから、できるだけ後悔しないように選んでほしい。だからこそ余計なことまであえてしゃべるんです」

地元の店の魅力を伝えるため、地域の方ととにかくつながりたい

木村さんは、自身が所属する桜台商店会の会計担当としても活動しています。もともとはほとんど高齢のメンバーだったそうですが、それを変えていこうとここ5年ほどで40〜50代のメンバーが中心となって活動しているそうです。

「桜台商店会は駅から少し離れたへんぴな場所にあるので、商店会を挙げて盛り上げていけば、人が足を運ぶようになって、それぞれのお店にもお客さんが入って潤うんじゃないかと思うんです。自分の店だけ儲かればいいやという時代ではないですから、みんなで盛り上げていきたいんですよね」

桜台商店会での活動にとどまらず、木村さんは近隣の商店会のメンバーと一緒に地産地消のものを販売する「アオバザール」という会社を立ち上げました。

「きっかけは、隣の青葉台商店会の奥山さんが中心となって、青葉区で生産された小麦を使って飲食店で何かをやろうというプロジェクトを立ち上げていたことです。麦というと、やっぱりビールじゃないですか(笑)。『せっかくなら青葉ビールをつくろうよ』という話になって、市内のブリュワリーにお願いして『青葉ビール』をつくりました」

昨年10月に販売した青葉ビールは、発売からわずか2〜3週間で完売。これはもったいないという話になり、奥山さんと木村さんのほか、桜台商店会の田原さんとあざみ野商店会の安生さんの4人で会社をつくって、青葉ビールを扱うことにしたのだそうです。

商店会に限らず、ここまで地域の人々と活動するのにはある思いがあるのだと木村さんは言います。

「お客さん以外の地域の方とつながりたいんです。以前は、みんな電車に乗って渋谷に買い物に行っていました。二子玉川やたまプラにお店が増えたら、そのへんにも買い物に行くようになって。でも、わざわざ電車に乗って出かけなくても、このエリアに魅力的なお店があるんです。さまざまなイベントや企画を通じて、そのことを知ってもらいたいんですよね」

SPRASと一緒に、青葉台エリアがより良くすることを考えたい

前述の通り、「SPRAS AOBADAI」の椅子やテーブルはwoody heartでオーダーしました。木村さんはコンセプトに合わせて、ファブリックや木材を提案。なかでも、タモ材を贅沢に使ったテーブルや本棚は木村さんが設計し、旭川で製作されたものなのだそうです。

自身が手かげた家具が並ぶ「SPRAS AOBADAI」に期待することについて聞く、木村さんは「商店会や商店と一緒にブラッシュアップしていきたい」と言います。

「自分たちが得意なツールを持ち寄ってチームを作って、どうすれば青葉台エリアがより良くなるかを考えてほしいですね。その中で地元の商店会や商店に求めることを言っていただければ、お互いブラッシュアップできるかなと思っています」

そして、木村さん自身もSPRASで「子どもたちに商店会のお店を紹介するイベントをやりたい」のだとか。

「特に小学生の子どもたちに、地域にどんなお店があるのかを知ってほしい。そして、保護者の方と一緒にお店に足を運んでもらえたら嬉しいです」

家具店を営みながら、地域の商店会や地元の人たちを巻き込んで、さまざまな活動をしている木村さん。この地域で暮らす人々が地元を回遊すれば、地元の商店が潤い、地域が活性していく。そのために、いろいろな人を巻き込みながら、地域が盛り上がるアイデアを考え続ける木村さんの今後の活動に注目ですね。