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ローカルインタビュー

さまざまな人たちが交流できる場所をつくりたい

里のengawa アレックスさん

青葉区の北部に位置する寺家町。青葉台駅から車で20分ほど離れたところにあり、のどかな自然の風景が広がっています。

今回、お話をうかがったのはそんな寺家町でシェアスペース「里のengawa(えんがわ)」を運営するアレックスさんです。シェアスペースとしてだけではなく、農業体験やパン講座などさまざまなイベントが開催され、街の人たちが集う場となっている「里のengawa」について、そして青葉台という地域について話していただきました。

 

外国語教師として働きながら始めた自然と触れ合うイベント

フランス出身のアレックスさんが日本にやってきたのは2001年の秋のこと。ドイツで半導体の会社で1年半働いたあと来日したと言います。

「最初は友だちから外国語教師の仕事があるよ、と聞いて。住みやすい国だし、安全だし、じゃあ行ってみようか、って軽いノリでした。特に憧れがあったわけじゃないんだけど、よくよく考えてみたら、合気道をやっていたし、それ以外にも侍、忍者、芸者、アニメと子どもの頃から日本の影響を受けていたなぁ、って思い出したんだ」

来日してから8年は外国語教室でフランス語教師として働き、その後、6年間は英会話教室の教師として働いていたアレックスさんですが、あるとき転機が訪れます。

「以前住んでいたところに小さい里山があって、そこで竹林整備と米づくりのボランティア団体を始めました。そこで先輩たちに米づくりを教わって、竹林整備をしながらゼロから田んぼづくりをやったんです。」

もっと大きいことがやりたいと思い、場所を探していたアレックスさんに声をかけたのは当時住んでいた部屋の大家さん。

「いま、里のengawaがある土地が空いたことを教えてもらったんです。その場所を使って自然体験のイベントをやりながら3~4カ月は掃除したり、片づけ、解体、リノベーションをして。全部で10ヶ月くらいかかったかな。カフェなどもやるために設備や環境も整えて2017年の10月に里のengawaとしてオープンしました。メインはお米づくりや畑づくりと言った自然体験。追加でバーベキューとかピザづくりもしました」

いまの形になったのは2019年の12月のこと。週末は自然体験、木曜・金曜のお昼だけカフェをやっていたので、使っていない月〜水曜を活用してシェアスペースやシェアオフィスを始めることに。カフェを担当していた人がベルギーに戻ったのをきっかけに、平日は本格的にシェアオフィスとして活動を始めたのだそうです。

 

いろんな人がコミュニケーションを取れる場をつくりたい

アレックスさんが農業に興味を持ったのは、来日してから自然と触れ合い、竹林整備などを行うようになったことがきっかけでした。

「数年前から貸し農園が人気ですよね。みんな、土に触れたいんですよ。自然に触れたいっていう人はたくさんいるけど、触れられる場所がない。自分は里山に住んでいるわけだから、そういう人たちが楽しめる企画ができないかな、って思ったんです。

竹林整備は月に1回だけでしたが、どんどん輪が広がっていきました。汗はたくさんかくし大変だけど、外で作業したり、お昼に竹林でお弁当食べたりして、外の作業最高だなって喜んでもらえていたのはよかったね。そういうみんなが喜べる場や、楽しめる場所、落ち着ける場所がつくっていけたらな、って」

里のengawaとしての場づくりは整いつつあるので、他にも“場所”をつくろうと計画中だとアレックスさんは言います。現在取り組んでいるのはツリーハウス農園です。

「子どもたちも遊べるミニツリーハウスや、デッキ、誰でも自由に入れてくつろいだり、散歩中にお弁当を食べたり。そういう場所をつくるために今、クラウドファンディングもやっているところです」

「あと、もうひとつのプロジェクトは『野良の暮らし』。今、里のengawaで週末に農業を体験やっているけど、単発で数回やるだけじゃなくて、1年を通して毎週通ってもらうんです。畑仕事をやったり、お米をつくったり、そのお米で麹をつくって、畑で育てた大豆と合わせて味噌をつくって……というもの。いまベースとなる小屋もつくって、畑の作業をしたあとに、お昼は小屋で過ごして、みんなでいろんな話をしたり、食べたり、何かをつくったり、というのを考えています」

ただ、お米や野菜をつくって終わるだけじゃなく、つくっている人たちが集まってコミュニティとなる場をつくりたいというアレックスさん。

そのほかにも、日本伝統のものづくりが学べる講座も開き、学べる場所にしたい、と構想は広がっています。

 

青葉台にある、地域をよくしたいという思い

さまざまな人たちの交流の場となっている里のengawa。そこに集うのはどのような人たちなのでしょうか。

「特に東日本大震災のあと、地域という言葉も大事になってきている。だから、この地域で何ができるかって多くの人が考えるようになったんじゃないかな、と思うんです。ここに来ている人たちも、そんな、自分が何かをしたい、と思っている人たちばかり。特に、寺家町の外に住んでいる人が地域を盛り上げていきたい、もっとよくしたい、と思っている人は多いんです。

シェアオフィスにも、いろんな人たちがいるから、その人たちが出会っていく中でいろんな企画が生み出されているし、それによってみんなの暮らしが豊かになっていくんじゃないかな」

 

良い街をつくってもらうことが一番

シェアオフィス、シェアスペースという面で、青葉台郵便局2階に誕生した「SPRAS AOBADAI」とも共通点があります。最後に「SPRAS AOBADAI」に期待することについて聞いてみました。

「地域の人たちと話し合いながら、つくっていける場所だといいですよね。住んでいる人たちの声が一番大事。うまくいくように願っています。その場を通じていろいろ生み出されたらいいですよね。いい街づくりを、よろしくお願いします」

人が集まり、楽しんだり喜んだりする場所をつくるのが好きだというアレックスさん。そんなアレックスさんがつくる「里のengawa」は今も新たな企画が次々と生まれています。その企画がまた人を呼び、新しいつながりが生まれて……とこれからもたくさんのワクワクを生み出してくれるに違いありません。